2011年1月14日金曜日

暮しの眼鏡 花森安治

1953
本体表紙

書 名 暮しの眼鏡
著作者 花森安治
発行人 矢部良策
発行日 昭和28年4月25日
発 行 創元社
発行所 大阪市北区樋上町45番地 東京都中央区日本橋小舟町2ー4
印刷人 河北喜四良
製本人 松尾榮次郎
判 型 B6判 上製平綴じ(糸) カバー付 本文188ページ
定 価 200円

【ひとこと】昭和25年発行の衣裳研究所版『服飾の讀本』につづく花森安治の自著自装である。じぶんの本だけに、のびのび楽しんでいる。表紙の変なローマ字表記は、中世ファナモリ語といった趣向のお遊びか。
あとがきに、花森は創元社にたいして「帯封はつけないでほしい、本の中にも広告を入れないで欲しい、と言いたい放題の註文を」したと書いている。版元におちどはないという意の、花森らしい気づかいだ。

扉や目次の文字組をごらんいただきたい。花森安治の装本の美意識が見事にあらわれている。

本扉

目次


奥付

奥付に、なれたペンづかいで本書への「寸評」が記されていた。もとの購読者によるおぼえ書き。(小生は京都の書砦梁山泊で入手した)

花森安治君は才子である。
小才子である。
猪口才である。
——と思はせる節のあるのは才走りすぎて損な処だ。
着眼点は實に鋭いのである。筆が軽妙すぎるから鋭いところも軽く流れてしまう憾みがある。昭和三〇、五、二六、

このような読み巧者が、花森安治の言動を見まもり、『暮しの手帖』をあと押ししたのであろう。きょう1月14日は花森安治の祥月命日。市井の賢者のことばを供養して、もう一ど本書を読みかえしたい。