2014年10月24日金曜日

花森安治カレンダー2015

花森安治カレンダー2015 本体表紙

出ました!
花森安治 calendar 2015

かわいい。おッしゃれー。ゴッツイケテル。やばッ。
ちかごろの若者ことばといったら、小生のような老人には、ねぇ。
ウン、つまるところ、とてもいいと言ってるのでしょう。
上質な用紙と印刷技術によって、花森安治の原画の美しさがみごとに再現されています。

表紙の絵は、1951年発行『暮しの手帖』12号。カレンダーには3月の絵柄としてつかわれています。洋館の庭にポピーらしき花がらんまんに咲く光景は、シュトラウスのワルツのように春のよろこびを明るく浮き立たせ、おもわず立ちどまりたくなるほど——。

10月25日は花森安治の誕生日。ことしは生誕103年にあたります。
花森安治のもとで働けたことに、いま大きな幸せを感じます。たとえば編集部でのお茶の時間、花森が与謝野晶子の歌をそらんじたことがありました。

ああ皐月 仏蘭西の野は火の色す 君も雛罌粟 われも雛罌粟

——雛罌粟(コクリコ)とはひなげし、ポピーのこと。虞美人草ともいいます。真っ赤なポピーがいちめん咲きみだれる中に、晶子と鉄幹の熱く昂揚するおもいが野にあふれています。大らかですてきだね、と讃えました。晶子にとってポピーは恋の花であり、その感性を、花森もまた受け継ぐ日本人であったとおもいます。ちなみにポピーには赤やオレンジ色ばかりでなく明るい青色もあるんですね。


花森安治カレンダー2015 本体ウラ表紙奥付

花森安治カレンダー2015は、絵のほかに表紙につかわれた写真もふくまれます。どれも花森による構図で撮影されたもので、身近なモノをならべるだけでも、構図の妙によって美しいアートに変わることをおしえられます。じっくり見ると、モノそれじたいが独自の美しさを持っていることにも気づかされます。編集者花森の多彩な表現力のひとつです。


花森安治カレンダー2015 卓上タイプ


卓上版もいいですよ。
(猫の置物は別、吾輩も猫ずきなのである)


花森安治カレンダー2015についてのお問合せ、ご注文はグリーショップまで。
http://www.greenshop.co.jp/ 



2014年8月9日土曜日

困った番組 NHKニュース

きょうは長崎に原爆が投下された日。

午前11時2分、わが箕輪町の空にサイレンが鳴りひびき、町民に1分間の黙祷をよびかけた。畑にいた小生は西のほうを向き、麦わら帽子をぬいで頭をたれた。式典のもようをNHKのテレビ中継でみることは、かなわなかった。

夜7時、NHKニュースをみた。
その内容に、大きな違和を感じたのは小生だけ、だっただろうか。
そんな筈はない。

たしかに台風情報は必要である。
しかし長崎での式典は、きょうの最も重要な社会ニュースである。
それがあまりに素っ気なく扱われていた。いかにも奇妙であった。

長崎の式典で、政府にとって、首相にとって、
よほど気にくわぬことがあったのだろう。
花森安治編集の『暮しの手帖』第2世紀11号の記事を思い出さずにはいられなかった。




暮しの手帖 第2世紀11号 1971 


ニュース番組をみるとき、テレビ局がなにを報道しようとしないか、
とりわけNHKに、政府がなにを報道させようとしないか、
それを見極めることが、今後ますます大事になるだろう。
そう思いませんか。

NHKのキャスターは、安倍政権のスポークスマンではないか、
とみまがうことが多くなっている。肝心なことは報道しない。
ジャーナリストの矜恃をすてたのかしら。


2014年1月14日火曜日

早春と青春

伊那谷に初雪がふった。
長野県は南北に2百キロメートル以上もあって広い。だから気候も南北でちがう。小生がくらす伊那谷は雪こそ少ないが、ここ数日の最低気温はマイナス10度にまでさがり、土も凍てつく。そのきびしい寒さのなかを野鳥はたくましく生きぬいている。おととい天竜川にそって飛行する白鳥のむれを見た。諏訪湖をめざす。



きょうは花森安治の祥月命日。
なくなった年に生れた子は、数えで37歳。第三十七回忌である。

花森にとって最後の詩作となったのが「早春と青春」であった。<白鳥のうた>を若い人たちにも味わってほしくて、暮しの手帖2世紀第52号(1978年)より引用転載させていただく。


早春と青春  花森安治

まだ風は肌をさし、道からは冷気がひしひしと立ち上る、
あきらかに冬なのに、空気のどこかに、よくよく気をつけると、
ほんのかすかな、甘い気配がふっとかすめるような、
春は、待つこころにときめきがある。
青春は 、待たずにいきなりやってきて胸をしめつけ、
わびしく、苦しく、さわがしく、
気がつけば、もう一気に過ぎ去っていて、
遠ざかる年月の長さだけ、悔いと羨みを残していく。


いま、日本は、花森たち戦争体験者が危ぶんだ方向へ、どんどん突き進んでいる。ふたたび「悔いと羨み」をのこしたくないものだ。


【あらずもがなのひとこと】
あまりの寒さのせいか、テレビの具合がおかしい。首相の顔が、うっすら赤みをおびて、ふくらんだように見える。子どもたちの好きなアンパンマンになってくれたらいいのにね。