2011年6月1日水曜日

人とつき合う法 河盛好蔵

1958


書 名 人とつき合う法
訳編者 河盛好蔵(1902−2000)
発行人 佐藤亮一 
発行日 昭和33年10月30日
発 行 新潮社
発行所 東京都新宿区矢来町71
印 刷 東洋印刷株式会社
製 本 植木製本所
判 型 B6判 上製 角背ミゾ平綴じ 本文188ページ
定 価 260円(昭和41年2月28日14刷)


本体表紙



【ひとこと】表紙とカバーの絵がちがう。ふたりのあいだの状況に時間差がある。たがいに隠しもったピストルとナイフを、つぎのせつな突きつけ合う。ブラック・ジョークだ。こういう絵を表紙にするのは、著者にしても意外と勇気がいるのではないか。若いころの二年間のソルボンヌ留学経験が、河盛のエスプリ感覚を磨きあげたのかもしれない。あとがきで河盛は、花森安治の絵を「清新で警抜」とよろこんでいる。

それにしても、この書名と著者名のあつかいは、前例があったのだろうか。 表紙のいちばん下、左右を版面いっぱいにして、おなじ大きさの文字で一行におさめている。意外性をねらったであろうことはわかるが、花森安治はたんに奇をてらうような人間ではなかった。なにか考えるところがあってのことと、小生はおもう。さて、その考えとは何だろう。



本文カット

河盛好蔵のかいたものは、人生訓というか社交術のようであるが、それがちっともイヤミでない。該博な知識と温厚親切な人柄が、その文章を抵抗なく読ませる。味わい深い。花森は、こう言っていた。
——随筆を書くなら五十をすぎてからにしろ。



表紙全体
カバー全体

【もうひとこと】カバーの色が褪せてみにくいが、背文字は本体からもわかるように、縦書ではなく横書である。これは本書だけでなく、花森安治装釘の河盛好蔵著『あぷれ二十四孝』もおなじ。ひとがやらないことをやる、は花森安治の基本姿勢であった。でも、それだって容易じゃない。装釘家ならわかるとおもう。


奥付