2011年6月6日月曜日

河盛好蔵の文庫版カバー

花森安治が装釘した河盛好蔵著『人とつき合う法』『あぷれ二十四孝』には文庫版がある。元本と文庫本のちがいを見くらべるのも、おもしろい。それぞれのカバーをごらんにいれ、参考に文庫本にしたときの著者あとがきページを供する。なお単行本同様、発行および発行人は、ともに新潮社と佐藤亮一。


<『人とつき合う法』単行本>

1958 単行本

<『人とつき合う法』文庫初版>

1968 文庫本
<『人とつき合う法』文庫改版>

1986 文庫改版
『人とつき合う法』文庫本あとがき

【ひとこと】花森安治のカバーによる河盛好蔵の本は、二冊とも花森存命中に文庫化されている。しかし『人とつき合う法』の昭和61年改版はその死後で、花森は新しくなったカバーを眼にしていない。これを見たら、あちらで舌打ちするかもしれない。

単行本の表紙で、書名と著者名をいちばん下に置いたのは、大上段にかまえていない姿勢、つまり老人の、上から目線の説教ではないことを、感じとってほしかったのだとおもう。

「人とつき合う法」なんて定石があるわけもなく、河盛ほどの人物であれば、含羞なくして説けるものではない。書名著者名が、下にあるのと上にあるのとのでは、花森の絵もちがって見えはしないだろうか。諧謔と悪ふざけは紙一重だ。こころすべし。



<『あぷれ二十四孝』単行本>

1960 単行本

<改題『親とつき合う法』文庫初版>

1974 改題文庫
『親とつき合う法』文庫本あとがき

【もうひとこと】現在、これら河盛好蔵の文庫本二冊も絶版になっている。青春の一時期、かつての若者たちにきそって読まれた本が、いまでは見向きもされなくなったようだ。読んでおもしろく、しかも読んだあとの充実感もあるのに、現代の若者たちが読まなくなった理由が、小生にわからない。

【訂正】『人とつき合う法』は版元をかえて、人間と歴史社から新装版がでている。花森安治の装釘ではないけれど、絶版ではなかった。訂正します。