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書 名 あぷれ二十四孝
訳編者 河盛好藏(1902−2000)
発行人 佐藤亮一
発行日 昭和35年12月20日
発 行 新潮社
発行所 東京都新宿区矢来町71
印 刷 図書印刷株式会社
製 本 神田 加藤製本
判 型 B6判 上製 角背ミゾ平綴じ 本文190ページ
定 価 270円(昭和38年10月30日6刷)
カバー裏面 |
【ひとこと】タイトルについて説明がいるだろう。「あぷれ」はフランス語のアプレ、「二十四孝」は、昔の中国にいたという24人の親孝行にもとづく説話集。戦前の日本でも道徳の規範として教えこまれた。ところがそれが敗戦によって覆る。平等の観念が、親子の間でもうわすべりに広まったあげく、戦前の教育をうけて育った者は、わが子へのむきあい方がわからなくなった。表紙は、親が子に対してちぢこまっている図。つまり本書は、アプレゲール(戦後)の親と子のかかわり方を説いたエッセイ集である。
表紙全体 |
扉 |
本文カット |
奥付 |
【もうひとこと】さきに出た『人とつきあう法』は書名著者名ともに写植であったが、本書では、花森安治はすべて描き文字にした。『二十四孝』なんて、写植では軽くなりすぎてしまう。それにつけてもおもしろいのは、河盛好藏の「藏」を正字にしていることだ。
拙著『花森安治の編集室』にかいたが、花森は略字の蔵を「カギのない藏」といってきらった。むろんその根底には、戦後の無定見な国語改革への批判があったからだけど、三十すぎるまで使っていた文字を、あしたから使っちゃいけないと法律で制限したら、怒るほうがまともな人間というものではないか。
カバー全体 |
【ついでにひとこと】『あぷれ二十四孝』は文庫版として出版されたとき、『親とつき合う法』に改題されている。『人とつき合う法』とともに文庫版の表紙は、次回ごらんにいれたい。