1948 |
誌 名 座談 昭和23年2月号 第2巻第2号
発 行 文藝春秋新社
発行日 昭和23年2月1日
発行人 池島信平
編集人 鈴木貢
目次画 向井潤吉
印刷人 大橋芳雄
印 刷 共同印刷株式会社
判 型 A5判 平綴じ 表紙共全68ページ
定 価 25円
【ひとこと】表紙は時代をうつす鏡——つくづくそう思う。
パイプと洋酒がならんでいる絵は、30年前であれば「おとなの男の愉しみ」という感じであろう。しかし、この雑誌が発行された60年前は「男のあこがれ」であった筈だ。ジョニ黒1本、かけだしサラリーマンの給料1カ月分をはたいても、買えないほど高価であった。キング・オブ・キングズにいたっては夢のまた夢、聞いたことはあっても実物もみたことがない(当然のんだことはない)者のほうが多かったであろう。では花森安治は、そんな高級酒を夜ごとのんでいたのか。
VAT69の右上の白いビン、そのラベルをよくごらんいただきたい。酒なしではやってらんない庶民ご愛飲のスピリッツ KASUTORI(カストリ)が麗々しく描かれている。ファイネストだ。
かつて『暮しの手帖』に「テレビ註文帳」をかいていた大橋恭彦がこう言っていた。
——花森安治の『暮しの手帖』には、かならずどこかのページにニヤリとさせるユーモアがひそませてあった。それが読者のこころを和ませ、親しみと信頼を増させた——
ウラ表紙の広告(クリックで拡大) |
【もうひとこと】広告業界には「3品」という用語がある。景気の好不況にかかわらず、広告をうってくれるのが、食品・医薬品・化粧品の3メーカーであるとの意味だ。この当時の『座談』の広告も、医薬品の広告が7割、あとは化粧品と銀行などである。それはともかく、この広告をみれば、食糧難による栄養不良もわかるし、睡眠剤や鎮痛剤で不安から逃れようとする人々の心理もつたわる。しかし、それにしてもアドルムのコピーには、開いた口がふさがらない。これでもコピーライターに責任はない、と言えるだろうか。