2011年4月25日月曜日

教祖の文學 坂口安吾

1948

書 名 教祖の文學 
著 者 坂口安吾(1906−1955)
発行人 草野貞二 
発行日 昭和23年4月20日
発 行 草野書房
発行所 東京都杉並区松ノ木町1115
印刷人 石井精一郎
印刷所 安信舎印刷株式会社
判 型 B6判 上製平綴じ 本文口絵共294ページ
定 価 100円


目次
奥付

【コメント】精神錯乱に陥ったときの幻覚のような、いささか異様な雰囲気の表紙である。あるいは「毒」を含んでいると言ってもよい。

目次からわかるとおり、書名の小林秀雄論にはじまり最後の短篇小説まで、坂口安吾の考え方やもち味がよく出た作品集ではあるが、内容をよく咀嚼せず丸のみすると、毒気にあたるだろう。

花森安治の表紙は、当世ならR18指定とでもいうのだろうか、「お子さまは読んではいけません」と警告しているような気がする。むかしのお子さまは小生もふくめ純情であった。毒といわれると、なぜかなめてみたくなるもの。狂言『附子』の如し——そう思いませんか、御同輩!


ウラ表紙 大きな瞳が安吾に似ている

【もうひとこと】坂口安吾が鬱状態におちいり、克服のために語学勉強にうちこんだことが知られている。佛教に関心をもちサンスクリット語やパーリ語、チベット語のほか、ラテン語やフランス語もまなび、成績は優秀であったという。そのことを知ってか花森は、表紙や背、扉に、何語かえたいの知れない言語を書きならべている。小生には読みとれないが、アホだ下品だ泥棒だ、という意味のことばが隠れているような気がするのだが、いかが。ラブレーの影響かしら。

表紙全体