2011年4月20日水曜日

田村泰次郎選集 第一巻 田村泰次郎

1948


書 名 田村泰次郎選集 第一巻
著 者 田村泰次郎(1911−1983)
発行人 草野貞二 
発行日 昭和23年7月15日
発 行 草野書房
発行所 東京都杉並区松ノ木町1115
印刷所 日本紙工印刷合資会社
判 型 B6判 平綴じ 本文口絵共336ページ
装 本 上製カバー 丸背ミゾ 表紙 表裏・型押し 背・箔押し
定 価 190円


目次

カバー裏

カバー 全

【ひとこと】注目していただきたいことが二つある。
一つは、花森安治の描き文字。3種類の書体でかきわけられている。カバーに2種類、扉に1種類、 これぞ花森フォントといえるもので、花森は対象テーマに応じていろいろに文字をかき分けた。

もう一つは、端布をつかったデザイン。佐野繁次郎の影響をみてとれるが、佐野がさまざまな端布を重ね合せるのに対し、花森は端布をならべるだけで、重ね合せることはすくない。縞帳のような端布見本の延長のようにおもえる。

言いかたがむつかしいが、佐野は端布をつかって芸術作品を創り出そうとするのに対し、花森は端布そのものに「美」を発見し、じぶんの美学世界を表現しようとする。——それはとりもなおさず、画家と編集者の資質の違い、といえるだろう。


本体 表紙全(表紙は型押し 背は箔押し)


奥付
【もうひとこと】発行人の草野貞二と草野書房については、また機会をあらためるが、いろいろと興味深い話がありそうだ。いつごろ草野と花森が知り合ったのか不明だが、おそらく翼賛会時代に親しくなったのだろうと、小生は見ている。

奥付の検印紙、表紙やカバー裏面の木の葉のロゴマークをみれば、これが花森安治のデザインであること、だれの目にも容易に察せられる。

花森安治はこの当時、編集者とグラフィックデザイナーの二足のワラジを履いて、かけまわっていたにちがいない。

カバー裏面 草野書房商標










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