1953 |
書 名 黄色の部屋 異色探偵小説選集②
著 者 ガストン・ルルー(1868−1927)
訳 者 水谷準(1904ー2001)
発行人 福林正之
発行日 昭和28年8月20日
発 行 日本出版協同株式会社
発行所 東京都文京区春日町1−1
印 刷 本文 和光印刷株式会社 カバー 平版印刷株式会社
製 本 石川製本所
判 型 B6判 上製平綴じ 本文302ページ カバー
定 価 250円
表紙 |
扉 |
奥付 |
表紙全体 |
【ひとこと】すでに拙ブログで紹介したが、本書ののちに刊行された創元社世界推理小説全集のタイトルは『黄色い部屋の謎』になっている。おなじ水谷準の訳で、訳文もほとんど同じなのにタイトルをあとから変えたのは、原題の “LE MYSTERE DE LA CHMBRE JAUNE” に忠実にしたためであろうか。「——の謎」だけでなく「——の秘密」とした本もあるが、「黄色の部屋」でもじゅうぶん怪しげだ。
版元の日本出版協同と福原正之(1901−1977)について、『出版人物事典』につぎの記載がある。
「東大社会学科卒。報知新聞記者などを経て、1943(S18)3月、日本出版会創立とともに総務部次長兼編集室長となり、『日本読書新聞』の経営にも当る。 '45日本出版助成株式会社の専務に就任、翌年、日本出版協同株式会社に改組した際、社長に就任。 '54年倒産、出版協同社として再出発。陀助のペンネームで健筆を振い、『ある聖医伝』では文藝春秋読者賞を受賞、『マラソン爺さん』の著書もある。日本出版クラブ設立時には発起人となり、評議員もつとめた。」——花森安治とは戦時中からの知り合いであったことがわかる。
カバー全体 |
セロファンカバー |
【もうひとこと】本書は、異色探偵小説選集と銘うった全12巻の一冊。装釘は、いずれも花森安治の同一デザイン、書名と著者名を変えているだけ。この選集の、本や作者の選び方、訳者陣をみると、『新青年』の編集者たちの関与がうかがえる。花森安治は、探偵小説誌の編集者としての水谷準を、ひじょうに高く評価していたようだ。
ガストン・ルルーの名は、いまや「オペラ座の怪人」の原作者として有名であろう。なんども映画化されたし、日本では劇団四季のミュージカルでヒットした。 シラノ・ド・ベルジュラックもそうだが、やっぱり古今東西、男の魅力は「顔の美醜じゃない、やさしさ」だ。フィリップ・マーロウも言ってるじゃないか。「やさしくなれないようでは、生きている資格はない」。いまの政治家に欠けているのは、責任とやさしさ。