1954 |
書 名 第二の性(第4巻) 女の歴史と運命
著 者 シモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908−1986)
訳 者 生島遼一(1904−1991)
発行人 佐藤義夫
発行日 昭和29年11月30日
発 行 新潮社
発行所 東京都新宿区矢来町71
印 刷 扶桑印刷株式会社
製 本 新宿加藤製本所
判 型 B6版 上製角背ミゾ平綴じ 本文292ページ
定 価 250円(地方売価260円)
本体表紙 |
扉 |
奥付 |
【ひとこと】カバーの絵が変わった。大きく描かれていた女性の子宮と魚が、こんどは小さくなって、象徴性が希薄になった印象は否めない。
いささか女性を愚弄した感じを与えることばに「女は子宮で考える」があるけれど、それを想起させ、女たちの反感でも買ったのだろうか。らちもない。小生はそのことばを賛辞とうけとめている。子宮こそ母性の源であり、母性は愛の極致ではないか。女に侮蔑的にそのことばを投げかけるバカな男がいれば、「くやしかったら、もっと現実的になれ」と言ってやればいいのだ。国会をみればわかるだろう。身勝手な男の理クツで考えても、現実は遠ざかるばかりなのだから。
——と、花森安治なら言うとおもうよ。
奥付の検印。福原麟太郎は『本棚の前の椅子』で、イニシャルを花押のように書いていたけれど、生島遼一はイニシャルの印鑑をつくったらしい。その気持はわかる。けれど印鑑の洋風は、なんとなくおかしい。
カバー全体 |
表紙全体 |
【もうひとこと】佐野繁次郎に似た描き文字ではあるけれど、花森安治の特徴がよく出ている。花森がかくと、この表紙のようにすっきりまとまってしまう。あるべき位置に、あるべき大きさで落ち着いてしまう。それに対して佐野は、つねに奔放であり、破天荒でさえある。どれも同じに見えるほど、その個性がきわだつ。なんどもいうが、つまりは編集者と芸術家の資質のちがいであり、ふたりの魅力のちがいなのである。
背表紙には原題だけをのせ、巻数を星印であらわしている。カバーをとって、本棚におさめると、ちょっと知的で、けっこうオシャレだ。
本体背表紙 |