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書 名 服飾の讀本
著 者 花森安治(1911−1978)
発行人 大橋鎭子
発行日 昭和25年7月1日
発 行 暮しの手帖社
発行所 東京都中央区銀座西8−5
印刷人 青山與三次郎(本文)・鈴木信司(表紙 有恒社)
印 刷 青山印刷株式会社
製 本 清水茂登吉
判 型 A5版 上製 無線綴じ 本文224ページ
定 価 280円
扉 |
目次 |
本文扉 |
奥付 |
【ひとこと】花森安治、これが最初の自著自装である。みずから絵筆でがいた配色見本のような表紙が美しい。これを現在の高度な印刷技術で刷れば、どんなにすてきだろう。書店の平台にならんだとき、ひときわ目立つにちがいない。店頭で客の目をひき、手にとらせることが、まずは装釘者の力量。いや、覚悟だとおもう。山口瞳がおぼえていた花森のことばがある。
「きみ、本屋へお客さんが来るだろう。そのひとが、ふところへ手を突っこんで、ガマグチを取りだして、パチンとフタをあけてだね、銭をだして物を買うっていうのは、大変なことなんだよ」 (「花森安治さん(二)『人生仮免許』新潮社1973所収)。
収載された文章は、三分の二が『美しい暮しの手帖』創刊号から八号まで、あとの三分の一が他誌に寄稿したものと新しく書き加えたもの。しかし発表分についても、大幅に修正加筆したと書いている。
店先に衣料品があふれておらず、じぶんで衣服を作ることが多かった時代の著作で、おもに洋装についての基礎知識が書かれている。それはいいかえればオシャレの基本でもあって、いまもけっして古びない。
【もうひとこと】すでに紹介したとおり、鐵村大二の生活社『婦人の生活』シリーズに安並半太郎の筆名で「きもの讀本」を書いたのが花森安治であった。本書『服飾の讀本』の「服飾」を平かなの「きも」に置き換えれば、『きもの讀本』になる。たんなる偶然であろうか。
花森安治のクセといえば語弊があるかもしれぬが、暮しの手帖社からだした『からだの読本』にしても、読本という言葉をつかっている。好んでつかった、というだけではないような気が、小生はしている。