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1947 |
書 名 青空士官 吉川英治選集 第二巻
著 者 吉川英治
発行人 早川清
発行日 昭和22年2月20日
発 行 早川書房
発行所 東京都千代田区神田多町2−2
印刷者 牧恒夫
印刷所 株式会社大化堂
判 型 B6判 上製平綴じ 本文202ページ
定 価 60円
【ひとこと】士官とあるから戦記物かとおもったけれど、若い男女の通信技師の恋愛小説。はつらつとしたコメディー。舞台も戦後である。
では、なにゆえ花森安治はこの表紙絵にしたのか。ヒントは、表紙に描かれているマガジンラックの中。新聞とハトの雑誌(どちらも英字)にあった。本書刊行当時もまだ、新聞社では屋上でハトを飼い、通信手段としてつかっていたのだ。「通信戦士」と称され、親しまれていたらしい。敗戦後、なにもモノがない時代がつづいていた。この絵には、これから結婚するふたりの暮しへの夢と、あこがれがある。
なお、新聞社とハトについては、岡崎武志著『古本生活読本』(ちくま文庫)の「伝書鳩は空を翔るファックス」にさまざまな情報がふくまれており、目からウロコかもしれませんよ。
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扉 |
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奥付 |
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ウラ表紙 |
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表紙全体 |
【もうひとこと】早川書房は、昭和20年に創業し、いまもつづく雑誌『喜劇悲劇』を復刊させた。本書刊行のころは草創期で、いわばベンチャー出版社ならではの元気を感じさせる。
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第1巻 装釘・住川雅鴻 |
経営者の的確な判断が、会社とそこに働く人びとの命運を左右するのは、出版界もおなじであろう。
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第1巻末 広告 |
『凧 探偵小(説)傑作集』の大下宇陀兒は、花森安治が高くかっていた探偵小説作家であるが、いま小生がすんでいる長野県箕輪町の出身なのだ。
このころすでに早川清は、推理小説の分野で、出版界の雄になることをめざしていたのだろうか。出版は心意気であり、野心でもある。