1946 |
書 名 掌の性(てのひらのさが)
著 者 南川潤
発行人 辻村正三
発行日 昭和21年6月15日
発 行 美紀書房
発行所 東京都本郷区曙町13
印刷人 長島季男
印 刷 大倉印刷所
判 型 B6判 上製平綴じ カバー無し 本文142ページ
定 価 7円
扉 |
奥付 |
【ひとこと】南川潤は昭和11年、慶應大学文学部英文科在学中、この作品で第 2回三田文学賞をとった。敗戦後、花森安治が文芸書の装釘をおおく手がけているのは、帝大新聞時代、そのころ新進気鋭とされた作家たちの知遇を得ていたからであろう。同僚部員の扇谷正造がみとめているように、花森が担当した文芸欄のレイアウトは、斬新なことで定評があった。美紀書房については、ほとんどわからない。発行人の辻村正三と花森安治の間をとりもったのは、あるいは日本読書新聞の田所太郎ではなかっただろうか。
本書の装釘で気になるのは、書名にルビを附したばかりでなく、背文字で書名をひらかなにしているところ。性をセイではなく、ぜったいにサガとよませたかったにちがいない。巷には性風俗をあつかったカストリ雑誌があふれていた。家庭にもちこんで子どもの目にふれても、親が気がねせずにいられる本——花森安治はそれをめざしていた。
書名をひらがなにした背文字 |
掌の性 ウラ表紙 |