2014年1月14日火曜日

早春と青春

伊那谷に初雪がふった。
長野県は南北に2百キロメートル以上もあって広い。だから気候も南北でちがう。小生がくらす伊那谷は雪こそ少ないが、ここ数日の最低気温はマイナス10度にまでさがり、土も凍てつく。そのきびしい寒さのなかを野鳥はたくましく生きぬいている。おととい天竜川にそって飛行する白鳥のむれを見た。諏訪湖をめざす。



きょうは花森安治の祥月命日。
なくなった年に生れた子は、数えで37歳。第三十七回忌である。

花森にとって最後の詩作となったのが「早春と青春」であった。<白鳥のうた>を若い人たちにも味わってほしくて、暮しの手帖2世紀第52号(1978年)より引用転載させていただく。


早春と青春  花森安治

まだ風は肌をさし、道からは冷気がひしひしと立ち上る、
あきらかに冬なのに、空気のどこかに、よくよく気をつけると、
ほんのかすかな、甘い気配がふっとかすめるような、
春は、待つこころにときめきがある。
青春は 、待たずにいきなりやってきて胸をしめつけ、
わびしく、苦しく、さわがしく、
気がつけば、もう一気に過ぎ去っていて、
遠ざかる年月の長さだけ、悔いと羨みを残していく。


いま、日本は、花森たち戦争体験者が危ぶんだ方向へ、どんどん突き進んでいる。ふたたび「悔いと羨み」をのこしたくないものだ。


【あらずもがなのひとこと】
あまりの寒さのせいか、テレビの具合がおかしい。首相の顔が、うっすら赤みをおびて、ふくらんだように見える。子どもたちの好きなアンパンマンになってくれたらいいのにね。