2016年9月18日日曜日

ぼくの花森安治

ぼくの花森安治 カバーおもて

書 名 ぼくの花森安治
著 者 二井康雄(ふたい・やすお)
校 閲 円水社
装 釘 三木俊一(題字 二井康雄 カバー画 佃二葉)
発行日 平成28年8月13日
発 行 CCCメディアハウス
発行者 小林圭太
発行所 東京都目黒区目黒1−24−12
印刷所 慶昌堂印刷株式会社
判 型 B6 本文173ページ
定 価 1400円+税

元「暮しの手帖」編集部員、二井康雄さんの回想記です。
二井さんも小生の先輩にあたりますが、前回紹介の小榑雅章さんからすれば後輩です。しかしカバーにも記載されていますように、在籍40年のキャリアを誇るベテラン編集者であり、書家、詩人、映像評論家などなど、その多彩な才能をいかし、現在も活躍しています。

二井さんは、小生がいたころの編集部ではまだ若手で、諸先輩のしごとのかげにかくれがちでしたが、たのまれるとイヤといえない質でした。たとえば冬の研究室でつかう暖房用のアラジン・ブルーフレームの管理をまかされ、ひとり黙々と整備していた姿が想い出されます。暮しの手帖編集部のしごとは、二井さんのような質実な存在もあって、成り立っていたのです。

とはいえ二井さんは、当時からマニアックな面もあり、映画や音楽への造詣もふかく、自宅の壁面に、ドーナツ盤レコードがぎっしりつまった棚があって、ふだんのイメージを一新させた記憶があります。本書をよみ、二井さんの若き日の研鑽がしごとに開花しているのがわかり、ふかく納得しました。その意味で本書は、雑誌編集者にさまざまなタイプがある中で、ひとつのお手本の姿がしめされているとおもいました。

そしてつまるところ、二井さんの文章をよみ、あらためて、花森安治のひと(編集者)を育てる力量の大きさに気づかされます。本書にこめた著者のおもいが、しっかり届く回想記。おすすめです。

【あらずもがなのひとこと】
本書紹介が、刊行後1か月以上もおくれ、申しわけありません。ここ信州の地域性なのでしょう。書店に大河ドラマ「真田丸」の特設コーナーはあっても、「とと姉ちゃん」コーナーはありません。類書が多く刊行されているのに、ひょっこり書店に立ち寄って買う、ということは不可能なのです。この先、町の書店は、どうなるのでしょうね。


2016年7月15日金曜日

「暮しの手帖」初代編集長 花森安治

暮しの手帖別冊 表紙


誌 名 「暮しの手帖」初代編集長 花森安治 
編集兼発行人 阪東宗文
発 行 暮しの手帖社
発行所 東京都新宿区北新宿1−35−20
発売日 平成28年7月8日(臨時増刊号)

この、ハッセルブラッド(カメラ)を肩にかけているダンディな男性こそ、伝説の天才編集長、花森安治その人です。

かっこよすぎて、見とれてしまう。 うれしくなってしまう。
表紙を見ただけで、酔ってしまうのだから、あとは・・・。

なかを読んで、おもわずうなりました。花森安治のひとがら、その多彩な才能が、さまざまな角度から、あざやかに描かれています。1997年にでた「保存版花森安治」にあった、散漫な印象が、この別冊では、きれいに払拭されていました。だから、 往年のファンはあらためて、花森を知らない若い世代はおどろきをもって、天才編集者の魅力を、じゅうぶん堪能なさるでしょう。

多くの手しごとが、わかりやすく紹介されています。若き日の写真のかずかずが、まさに異彩を放っています。くわしくは、どうぞ下記のサイトをごらんあれ。
http://www.kurashi-no-techo.co.jp/bessatsu/e_2094.html

<花森安治の仕事展 来春開催決定>
 世田谷美術館で、「花森安治の仕事展——デザインする手、編集長の眼」と題する展覧会が来春開催されます。期間は2017年2月11日(土)から4月9日(日)あなたの眼で、華麗でかわいい作品のかずかずを、じかに見てください。

【必見! NHK Eテレ 日曜美術館】
7月17日(日)午前9時、NHK Eテレ「日曜美術館」で、花森安治の描いた『暮しの手帖』30年間の表紙画のかずかずが、初めてテレビで紹介されます。世田谷美術館での展覧にさきがけての放映で、お住まいが遠くて来館のむつかしいかたには好機です。ご家族そろってごらんください。花森安治は、絵を描いても一流であった、それが伝わります。
http://www4.nhk.or.jp/nichibi/x/2016-07-17/31/12617/1902689/ 


【あらずもがなのひとこと】
こんかいの参議院選挙は、きわめてざんねんな結果でした。
美しいものを見ると、こころが和みます。やさしくなれます。
花森安治の願いと祈りが、あなたの胸にとどきます。
こころがざらついたあなたに、ぜひ、おすすめしたい一冊です。
選挙に勝ったと熱狂しているあなたにも、ぜひ読んでいただきたい一冊です!

2016年7月1日金曜日

花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部

カバーおもて


書 名 花森さん、しずこさん、そして暮しの手帖編集部
著 者 小榑雅章(こぐれ・まさあき)
校 閲 大沼俔子
装 幀 佐々木暁(装画 花森安治)
発行日 平成28年6月11日
発 行 暮しの手帖社
発行者 阪東宗文
発行所 東京都新宿区北新宿1−35−20
印刷所 精興社
判 型 B6 本文399ページ
定 価 1850円+税


朝ドラ「とと姉ちゃん」が始まって、小生ごとき者にも取材や原稿依頼がとびこんできます。 そんなとき、たかが六年ほど花森さんのもとで働いたからと、しゃしゃり出るのは図々しく、われながら如何なものか、とおもってはいます。でも自分が、見たまんま、聞いたまんま、感じたままを述べればいい、花森安治と『暮しの手帖』のことです、いいかげんなまま捨て置かれるわけはなく、だれかが事実をおぎない、その全貌をあきらかにしてくれるとおもって、本がたくさん出るのをよろこんでいます。

そんな、つぎつぎと類書が出る中で、こころ躍る一冊が、ようやく刊行されました。読みながら感嘆することしきりでした。小生とは比べものにならない小榑先輩のキャリアが、内容を厚く濃いものにしています。小榑先輩の「いまこそ書かねば」という気魄が、始めから終わりまで、ひしひしと伝わって圧倒されます。その根底に流れるのは、暮しへの愛情と、暮しを踏みにじるものへの怒りだとおもいます。そして拙著『花森安治の編集室』にはない気配りが、文章にも行間にも、いや本ぜんたいに満ちていて、じつに爽快でした。

花森安治に培われた文章力がみごとです。これぞ暮しの手帖編集部の歴史をものがたる名著。どなたにも、ぜひ読んでいただきたい本です。

小榑さんのブログを紹介させていただきます。いまの日本の状況を憂う危機感が、強く迫ってきます。ジャーナリストとして、かくありたいものです。(下記をクリック)
http://blog.livedoor.jp/moshihana/


【追記】
今月は同じく編集部先輩の二井康雄著『ぼくの花森安治』(メディアハウス)も刊行されるようです。こちらもたのしみです。でも地方に暮していると、近刊も店頭ではなかなか手に入りません。紹介がおそくなること、ご了承ください。





2016年4月8日金曜日

花森安治の編集室(文春文庫)

花森安治の編集室 文庫版カバーおもて


書 名 花森安治の編集室 「暮しの手帖」ですごした日々
著 者 唐澤平吉
装 釘 大久保明子(カバー写真提供 土井藍生)
発行日 平成28年4月10日
発 行 文藝春秋
発行者 飯窪成幸
発行所 東京都千代田区紀尾井町3-23
印刷所 図書印刷(DTP ジェイ エスキューブ)
製本所 加藤製本
判 型 文庫 本文282ページ
定 価 640円+税


晶文社から1997年9月に刊行された拙著の文庫による復刻版です。
「怖いもの知らずゆえに書けた本」が文庫担当者の読後評でした。それがこんかい復刻の僥倖にめぐまれたのは、NHK朝の連ドラ「とと姉ちゃん」に便乗してのこと。暴走する馬の尻尾にしがみつくハエのごときで、こわがりの小生、気が気ではありません。

と言いながらも、「とと姉ちゃん」にあやかって読売オンラインに寄稿しています。長文にもかかわらず、ほぼ原稿どおり掲載していただきました。下記をクリック。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160404-OYT8T50080.html?from=ytop_os2_tmb

『暮しの手帖』の文章を書くうえでだいじなことを、花森安治は時々に説きました。拙著に、一つ書きもらしたことがあります。
「ひとを描くときは浪花節だ」——
つまり、ひとを批評家の目で描いてはいけない、というような意味だろうと理解しています。それができているかどうか、自信なんてありませんが、わたしはその花森のことばを頭においてかいたつもりです。

若書きゆえの粗雑な文章で、こんかい読みなおして身の縮むおもいでした。けれども生来アタマも粗雑にできているせいで、じぶんが書いた文章を、いつしかおもしろがって読んでいるのんきな自分がいて、まったくもってアホかいな、でした。 お気がむけば、どうぞ読んでやってください。本日発売です。


カバーうら 帯とも


晶文社版は、平野甲賀さんの装釘でした。文庫版は大久保明子さん。花森さんの愛娘土井藍生さんからお借りした写真に、大久保さん手作りの文字で、あたたかみのあるやさしいカバーにしてくださいました。身にあまる光栄です。

ところで、じつは拙著にはもう一人、カバーをデザインしてくれた方がいます。グラフィックデザイナーの望月五郎氏。1998年4月から放映された東芝日曜劇場『カミさんなんかこわくない』に登場し、ドラマの中でカバーを制作してくれました。望月氏を演じていたのが天下の二枚目俳優の田村正和さん。ドラマの演出に平野甲賀さんが直接協力していたのでした。わがカミさんは、美男の田村さんをみて絶叫し、小生の顔を見るなり、大きなため息をつきました。どうしてかしら。

2016年3月31日木曜日

花森安治伝(新潮文庫)

文庫版カバーおもて

書 名 花森安治伝 日本の暮しをかえた男
著 者 津野海太郎
解 説 中野翠
装 釘 平野甲賀(カバー装画 花森安治)
発行日 平成28年3月1日
発 行 新潮社
発行者 佐藤隆信
発行所 東京都新宿区区矢来町71
印刷所 大日本印刷
製本所 憲専堂製本
判 型 文庫 本文427ページ
定 価 670円+税


新潮文庫担当者M・Hさんからちょうだいしました。
この本は、津野さんの、もちまえの博識に、じつに緻密な資料検証が加わった、みごとな花森安治の評伝です。なるほど、そうだったのかと、目を開かれることばかり。なにより読みやすく、わかりやすい文章に感銘をうけます。編集者の文章のお手本です。

そんな名著に、拙著『花森安治の編集室』からも引用されています。またしても、うれしさと申しわけなさが入り混じります。二十年前、小生が「津野さんに読んでほしい」と晶文社に拙文をもちこんだのが、拙著刊行のきっかけでした。いまからおもえば、持ち込んだ小生も、引き受けた津野さんも、冒険というか蛮勇でした。むろん小生は、津野さんの懐の大きさ深さに賭けたのでした。津野さんは小生の恩人です。ところがなぜか、あのときからお会いできる機会に恵まれないでいます。

けれども今、あらためて読ませていただいておりますと、遠く離れていても、花森安治をおもう時間は、ずっと近いところで流れていたのを感じました。これも縁というものなのでしょう。 こんかいの文庫化で、買いもとめやすくなりました。戦前に回帰しつつある現在の状況でこそ、ぜひ多くの方に読んでいただきたいものです。


カバーうら・オビ共


【あらずもがなのひとこと】
解説は中野翠さん。中野さんの父上は、花森安治とおなじ明治44年生れなのだそうです。じつは小生の父も同年生れ。小生がこどものころ、いまでは使われなくなった表現に「地震カミナリ火事オヤジ」あるいは「カミナリオヤジ」がありました。星飛雄馬の父の星一徹、あるいは寺内貫太郎みたいな、怒鳴りまくるオヤジは、全国津々浦々、けっして珍しくなく、わが父もその一人でした。犬を飼ってもいないのに、玄関に「猛犬注意」の札をみずから書いて張り付けていた。いまじゃそんなカミナリオヤジも絶滅危惧種。似ても似つかぬ虐待オヤジばかり増殖しているようにおもえるのは、不肖のせがれの杞憂かしら。