2012年3月2日金曜日

【松江だより 花森安治展 その1】

●パンフレット

パンフレット表紙


編集人 上野小麻里(島根県立美術館主任学芸員 本展企画者)
発行人 くらしとデザイン『暮しの手帖』花森安治の世界 実行委員会
発行所 島根県松江市袖師町1−5 島根県立美術館
印刷所 有限会社松陽印刷所
判 型 タテ155×ヨコ105(ミリ)表紙とも全16ページ 中綴じ
無 料


【ひとこと】さきごろ開幕した松江の花森安治展は、見る人に春の日ざしのような暖かな感動をあたえ、稀代の天才編集者への関心は、日ましに高まっているようだ。いわゆる雑誌編集者のしごとから漠然とうけるイメージとはひと味もふた味もちがう、それは細やかで美しい手しごとの世界が、眼前にくり広げられているからであろう。おどろきの声と感嘆のため息が、会場のそこかしこにもれているという。

開催当日、展覧会を訪れた方から、愛らしいパンフレットをお送りいただいた。わずか16ページだが、本展企画者である上野小麻里さんの、卓越したセンスがひかっている。花森安治と『暮しの手帖』のスピリットを、みごと凝縮している。感にたえた。

資料としての価値が高い。花森安治が編集した『暮しの手帖』でテストした商品の全品目を、4ページにわたって列挙した。そこに昭和の暮しがあった。それを見つめたジャーナリズムがあった。ひとは花森安治と『暮しの手帖』のしごとを如実に知ることができる。

花森安治は言っていた。「買った人にオツリがきたと喜んでもらえる、それが親切な商品だ」——さしずめ松江での花森展は、この出色のパンフレットを手にすることにより、訪れたひとは予期せぬオツリがきたと必ずや、うれしくなるにちがいない。

誘いあって行かなくっちゃ!